インドネシアでの海外営業経験10年以上の池田さんに、代理店開拓のリアルな実態をお伺いしました。
規模の大きな代理店と提携して失敗した具体的な事例
規模よりも信頼と情報共有を重視するパートナーシップの重要性
アコマ医科工業に入社後、私はインドネシア市場における代理店の選定・交渉・マネジメントを担当していました。当初は既存の代理店が1社ありましたが、約9年間の間に代理店を2度変更することとなり、最終的には3社と協業しました。中でも2社目との契約解消は、非常にチャレンジングな経験となりました。
当時取り扱っていた製品は、全身麻酔機、人工呼吸器、電気メス、吸引器など、専門性の高い医療機器です。製品の販売にはデモンストレーションが重要で、医師に直接使用感や導入メリットを体験してもらうことが求められました。
2社目の代理店は、従業員700名規模の大手企業でした。一見すると信頼できるパートナーに見えましたが、実際には組織の管理が行き届かず、販売許可に関わるライセンスの失効という深刻な問題が発生。結果として、約2年間にわたり該当製品の販売が停止される事態となりました。
大手の外資系メーカーを優先する方針が背景にあり、自社製品に対する優先度が下がっていたことも原因のひとつでした。組織規模が大きいほど、自社の製品や戦略に対する影響力を保つことが難しくなることを痛感しました。
3社目の代理店との関係構築では、「信頼できる人間関係」と「情報の透明性」を重視しました。結果として、現在でもプライベートで付き合いが続くほどの信頼関係を築けています。
たとえば、競合製品の価格情報や現地市場での販売状況なども、写真付きで共有してもらうことができました。こうした密な情報連携は、競争の激しいインドネシア市場において非常に価値が高いものでした。
↓実際に病院でデモを説明する池田さん
代理店の選定は単なる取引相手の決定にとどまりません。それは、長期的なビジネスの成否を左右する「戦略的投資行為」にも等しいものです。特にインドネシアのようなダイナミックな成長市場においては、代理店との関係性が将来的な成長を大きく左右します。
情報収集、与信管理、リスクの把握、関係構築といった要素は、決して受動的であってはなりません。しばしば見られる「代理店任せ」の姿勢は、長期的な信頼関係の構築を困難にします。むしろ、現地との対等なパートナーシップを築くためには、日本側が主体的にアクションを起こし、積極的に関与する姿勢が求められます。
これは、日本企業が比較的不得意とする部分かもしれませんが、だからこそ、能動的な関係構築を支援するプラットフォームやサポートの活用が重要です。私たちは「Leap」がこの課題を解決する大きな助けになると考えています。
密なコミュニケーションが取れるかどうかは、取引開始前から見極めたいポイントです。誠実で、情報共有に前向きなパートナーとは、製品知識の浸透も早く、市場への対応力も強化されます。現場のフィードバックを迅速に吸い上げられる体制を構築できれば、事業の柔軟性と競争力も高まります。
利益の見通しをお互いに共有し、明確な目標を持てることが、良好な関係を維持する鍵となります。一方的な売上目標ではなく、代理店側のインセンティブ設計や市場での成長ポテンシャルを踏まえたパートナーシップこそが、継続的な成果につながります。
インドネシア市場における代理店選定は、単なる販売チャネルの確保にとどまらず、共に市場を切り拓く「ビジネスパートナー」との出会いです。その意味で、目先の数字ではなく、情報、信頼、利益の見通し──この3点に投資する姿勢が求められます。
そして何より、日本企業が直面しがちな「受け身の姿勢」を脱却し、現地と対等な関係を築くための一歩を踏み出すことが、成功への鍵となるのです。
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