海外展開を考えている中小企業にとって、限られたリソースで成果を出すには、信頼できる支援機関の活用が欠かせません。
中小機構の海外展開支援とは?補助金から専門家派遣、出資まで徹底解説
海外進出を目指す中小企業にとって「まず何から始めればよいか分からない」「信頼できる現地パートナーをどう探せばいいのか不安」という声は少なくありません。そんな悩みに対して、強力な支援を提供してくれるのが【中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)】です。
この記事では、中小機構が提供する海外展開支援策の全体像と、具体的な使い方や活用事例までを詳しく解説します。この記事を読めば、どの支援が自社に最適なのかが見えてきます。
中小機構とは?
中小機構は、経済産業省の所管のもとで中小企業の成長支援を行う独立行政法人です。特に海外展開の分野では、次のような支援策を提供しています:
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補助金(JAPANブランド育成支援等)による費用負担の軽減
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海外展開の専門家派遣によるハンズオン支援
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中小機構系ファンドを通じた出資・投資による資金提供
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地方銀行や自治体、JETROなど他機関との連携支援
このように、資金・ノウハウ・ネットワークの3方向から支える支援体制が整っています。
【1】海外展開に使える補助金制度
中小機構が実施する補助金の代表例が、「JAPANブランド育成支援等事業費補助金(通称:ジャパンブランド補助金)」です。これは、中小企業が海外市場での販路開拓・ブランド構築に取り組む際に、最大500万円(補助率2/3)の補助が受けられる制度です。
対象経費の具体例
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海外向けWebサイトやパンフレットの制作・翻訳費
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海外展示会・商談会への出展費用(ブース費用、渡航費など)
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ECサイト運用費(現地向けマーケティング含む)
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テストマーケティングにかかる費用
活用ステップ
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計画書の作成:目的、対象国、市場戦略を明確に記載
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事業者選定と見積取得:翻訳会社やWeb制作会社などの選定
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申請書提出 → 採択 → 事業実施 → 実績報告 → 補助金交付
活用事例
愛知県の精密部品メーカーは、アメリカの医療機器業界向けにパンフレット翻訳、現地展示会への出展、通訳手配で300万円の経費をかけ、そのうち200万円を補助金でカバー。展示会後、米国の代理店1社と契約を締結。
【2】専門家派遣による「実戦型」サポート
中小機構では、海外展開に経験豊富な外部の専門家を、企業の課題に応じて派遣するプログラムを用意しています。特に評価が高いのが「販路開拓コーディネーター」や「海外ビジネス戦略専門家」の派遣です。
専門家の支援内容
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海外代理店候補の評価・選定アドバイス
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商談スクリプトや価格交渉戦略の作成
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貿易実務(契約書、インコタームズ、決済手段)の指導
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商社を経由しない直販モデルの構築支援
活用の流れ
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中小機構へ相談(支援内容・希望地域・業種を伝える)
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専門家選定(適任者をマッチング)
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月1〜2回程度の訪問/オンライン支援(最長6ヶ月)
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成果報告と継続支援の可否判断
活用事例
兵庫県の機械工具メーカー(社員15名)が東南アジア進出を計画。派遣された専門家が現地エージェント8社をリスト化・評価し、3社と面談。最終的に1社と独占代理契約を結び、現地展示会で初年度800万円の受注を獲得。
🔗 関連:
初めての海外代理店との面談・商談で失敗しないための準備と進め方
【3】出資・投資による資本支援
中小機構は、自らがファンドを運用し、中小企業への「出資(資本参加)」も行っています。これは返済不要の資金を提供するもので、特に「新市場への挑戦」や「大規模な成長投資」が必要なケースで活用されます。
特徴
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出資は1,000万円〜1億円超(事業規模に応じて柔軟に対応)
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株式上場やM&Aを視野に入れた成長支援
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経営課題へのハンズオン支援もセットで提供
活用事例
九州のバイオテック企業が東南アジア展開にあたり、3,000万円の出資を獲得。中小機構系ファンドが株式の一部を取得し、現地法人設立や現地採用、認可取得支援までを伴走。
地方銀行との連携支援
地方銀行や信用金庫との連携により、補助金や専門家派遣だけではカバーできない「融資」「決済サポート」「為替リスク管理」といった金融面のサポートも受けられます。
よくある活用例
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補助金を自己資金で賄えない場合、つなぎ融資を銀行が提供
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銀行と中小機構の共同支援プランで、申請がスムーズに進行
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銀行経由で専門家派遣やJETRO紹介が行われることも
どの制度を選ぶべき?失敗しない選定のヒント
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初めての海外展開なら補助金と専門家派遣の組み合わせがおすすめ。
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現地法人設立や大規模な事業投資なら出資も検討対象。
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補助金は「採択率」があるため、戦略的な計画書作成がカギ。
🔗 参考記事:
医療機器の代理店開拓で学んだこと──インドネシア市場での現場経験から
まとめ:制度を「知ってる」だけではもったいない
中小機構の支援制度は、知識として持っているだけでは意味がありません。実際に「相談する」「申請する」「伴走支援を受ける」といった行動に移すことで、初めて効果を発揮します。
海外展開はハードルが高く見えるかもしれませんが、適切な支援を活用すれば、大きなリスクを取らずに第一歩を踏み出すことが可能です。
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