「円安で儲かる」は本当か?――中小企業が今、海外展開で考えるべきこと 「円安だから今がチャンスだ!」 「うちの商品、海外で売れるかも…」
【円高・円安で損しない】中小企業でもできる!為替変動リスク対策とプロが教える「為替予約」の始め方
海外展開を進める中小企業にとって、避けて通れない壁があります。
それが「為替変動リスク」。
「海外の代理店と契約したけど、レートの変動で利益がほとんど残らなかった…」
「円安で得したはずなのに、気づけば資金繰りが苦しくなっていた…」
こうした声は、初めて海外に挑戦する中小企業ほど多く聞かれます。
この記事では、金融の専門知識がなくても実践できる「為替変動リスク対策」を、分かりやすく・具体的に解説します。
特に「為替予約ってどうやるの?」「ウチみたいな規模でもできるの?」といった不安をお持ちの方に向けて、実例や数字を交えて丁寧にご紹介します。
■ 為替変動リスクとは?「知らなかった」では済まされない現実
まず、基本を押さえましょう。
為替変動リスクとは、通貨のレートが変わることで発生する損益のブレです。
✅ 具体例:1ドル=150円 → 140円になったら?
ある機械部品メーカーが、アメリカの代理店に100,000ドルの商品を輸出したとします。
決済時のレート | 日本円での売上 |
---|---|
150円 | 1,500万円 |
140円 | 1,400万円 |
→ 同じ売上でも、為替だけで100万円の差が出ます。
これが、あなたの会社の「利益を吹き飛ばす要因」になるのです。
為替リスクに加えて、海外代理店との契約内容も重要なポイントです。
例えば、契約書に為替変動条項を盛り込むことで、リスクを軽減できます。
詳しくは、以下の記事をご参照ください。
👉 海外代理店契約に弁護士は必要?契約トラブルを防ぐ相談タイミングと費用の目安
「為替のせいで赤字」にならないために、今すぐできる3つの対策
1. 金融機関と契約する「為替予約(Forward Contract)」
為替予約は、将来の為替レートを今の時点で確定する契約です。
主に銀行や商社の外為部門が提供しており、中小企業でも取引実績があれば利用できます。
▶ こんな会社におすすめ:
-
納品までに時間がかかる製造業・BtoB取引
-
100万円以上の輸出入を想定している企業
-
売上や仕入がドル建て・ユーロ建ての企業
▶ 実例:静岡の精密加工会社(従業員12名)
アメリカの医療機器メーカーと年間50万ドルの契約を結んだものの、1年目は円高で250万円の損失に。
2年目からメインバンクと為替予約を開始。
「半年ごとに20万ドル分を固定レートにしておくだけで、経営の見通しが立つようになった」と社長談。
▶ ポイント:
-
少額・短期の契約も可能(たとえば3ヶ月先の3万ドル分など)
-
銀行の担当者が手続き・アドバイスをしてくれる
-
相場が有利に動いた場合でも、予約レートを優先する必要がある
為替予約の活用と並行して、信頼できる海外代理店の選定も重要です。
代理店選びのポイントについては、以下の記事が参考になります。
👉 海外代理店探しで失敗しないための5つのポイント|時間とコストを無駄にしない戦略的アプローチ
2. 売上とコストを同じ通貨でそろえる「ナチュラルヘッジ」
たとえば「ドルで売上を得たら、ドルで広告費や仕入も支払う」。
これがナチュラルヘッジの考え方です。
▶ 実例:福岡の家具メーカー(自社ECで海外販売)
アメリカ向けECサイトで商品をドルで販売。
広告費や梱包資材を米国の業者からドル建てで仕入れることで、売上と支出が相殺され、為替の影響を最小限に。
▶ メリット:
-
金融商品の契約不要で、実務で始められる
-
為替相場に左右されにくくなる
-
キャッシュフローの管理がしやすい
3. 契約に「為替変動条項」を盛り込む
長期契約や大口取引では、契約書に「為替が●%以上変動したら価格を見直す」条項を入れておくのが賢明です。
▶ 実例:大阪のプラスチック製品メーカー
代理店との契約に「±5%以上の為替変動時は再交渉」と明記。
円高に振れた際に、販売価格を5%引き上げる交渉に成功し、赤字を回避。
▶ 注意点:
-
海外代理店と交渉が必要だが、誠実に説明すれば合意は可能
-
契約書の文言は法務の確認が必要(テンプレート例は弁護士監修のものを推奨)
■ 為替対策は「コスト」ではなく「リスク保険」
「為替予約には手数料がかかるし…」
「まだ売上も少ないから、リスク管理は後回しでいいや」
そう考える方も少なくありません。
しかし実際には、小さな備えが大きな損失を防ぐ保険になります。
✅ 中小企業にありがちな失敗例
-
海外売上が伸びてきたタイミングで、突如円高
-
利益が出たつもりが、最終的に赤字決算
-
為替差損で資金繰りが悪化し、銀行融資が受けにくくなる
まとめ:まずは“1件分の輸出”からでも備えよう
対策手段 | 難易度 | 効果 | 推奨タイミング |
---|---|---|---|
為替予約 | 中 | 高 | 受注確定後にすぐ |
ナチュラルヘッジ | 低 | 中〜高 | 海外販路構築の初期 |
為替条項 | 中 | 中〜高 | 長期・高額契約時 |
最初から完璧を目指す必要はありません。
「まずは1件の輸出に為替予約をかけてみる」だけでも、会社の未来は変わります。
■ よくある質問(FAQ)
Q. 銀行での為替予約には審査がありますか?
A. 多くの場合、取引実績や信用情報に基づいて判断されます。メインバンクに早めに相談するのがおすすめです。
Q. ナチュラルヘッジは完全にリスクをなくせますか?
A. すべての取引を同じ通貨にそろえるのは難しいですが、「できる範囲で通貨を揃える」だけでも十分効果があります。
Q. 為替条項は英語でも書けますか?
A. もちろん可能です。国際契約書のテンプレートや翻訳サポートも専門家に依頼すれば安心です。
あなたの「海外進出」を、為替の波から守ろう
日本から世界へ。
その第一歩を踏み出した中小企業が、為替という“見えないリスク”でつまずかないように。
「なるほど、こんな方法があったのか!」
そう思っていただけたら、ぜひ同じように海外展開を目指す仲間にも、この記事をシェアしてください。
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