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「現地を知り、エビデンスで信頼を勝ち取る」――商社・メーカーでの海外営業経験から見えた、販路拡大の本質

海外販路を広げるには、製品力や価格競争力だけでは足りません。
必要なのは「現地市場を理解し、そこに最適な形で信頼を築く」こと。

鉄鋼商社と素材メーカー、両方で海外営業を経験してきたSさん(仮名)が語ってくれたのは、現場の肌感覚から導き出された“現地適応型エビデンス営業”の重要性でした。

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現地で調達できるものは売れない。「何が不足しているか」をまず知る

Sさんが商社で扱っていたのは、自動車のボディなどに使われる鉄鋼製品。主な輸出先はアメリカ、タイ、ベトナムなどでした。

「鉄鋼は重いから輸送コストが高い。現地でも調達できるようなものは、どうしても価格で負けてしまいます」

この経験から、Sさんは気づきます。「自社の製品を売る」よりも、「現地で足りないものを提供する」発想が重要だと。

「例えば錆びにくい特殊合金とか、高強度で差別化できる素材。そういうものは現地にないからこそ選ばれます。大事なのは“現地に何が不足しているか”を知ることです」

 


「日本品質」は証明して初めて信じてもらえる

たとえ品質に自信があっても、それだけでは現地のバイヤーには届きません。

「“日本製だからいいでしょ”というのは、実は通じない。だから、必ず日本で実験して、性能データを添えて営業に行きました。品質を“見える化”することで、納得感が出るんです」

既存顧客へのサンプル同梱や、用途に応じたデータ提示など、エビデンスベースの提案営業が、高品質製品を伝えるためのキーポイントでした。

 


マグネシウムの添加剤は、「ニーズ起点の開発」で販路を切り拓いた

メーカーに転職後に扱ったのは、プラスチックに添加するマグネシウム粉末。鉄鋼と違い軽くて輸送コストがかからないため、より自由度の高い提案が可能でした。

「アジアの顧客が“こういう性質の素材が欲しい”と要望してくるケースが多かったです。標準品を売るというより、相手のニーズに応じて開発・提供するスタイルでした」

ここでも、ただ作って送るのではなく、試験データや使用実績を含めて信頼を構築していく営業スタイルが貫かれていました。

 


代理店もコンサルも「現地理解」の要

Sさんは、商社時代もメーカー時代も現地代理店を積極的に活用していました。

「在庫を持ってもらい、現地営業も担ってもらう形です。現地事情に詳しいパートナーを持つことが、販路開拓のスピードと精度を高めてくれました」

また、東南アジアでの駐在時には、現地の輸入規制が変更されたことを見逃し、大きなトラブルに発展した経験も。

「数か月後に違反を指摘されて、現地法人の社長が何度も検察に呼ばれました。最終的に現地の通関コンサルの支援を受けて、逮捕などは避けられましたが…」

この経験からも、法制度や文化、商習慣など“現地の当たり前”を理解する体制づくりの重要性が痛感されたと語ります。

 


まとめ:「現地を知る」ことからすべてが始まる

Sさんの海外営業経験を通して見えてきたのは、以下のような本質的な販路拡大戦略です。

  • まずは現地の市場を知ること(何が足りないのか?何が求められているのか?)

  • そのニーズに対して、データやサンプルで“納得”を届けるエビデンス営業

  • 現地代理店やコンサルをパートナーとして巻き込むことで、理解と信頼を得る

海外販路開拓に「万能な成功パターン」はありません。
ただし、どの国でも共通して重要なのは「現地を理解する努力」と「その理解に基づいた証明」です。Leapでは、こうした“現場目線の海外営業ノウハウ”をこれからも発信していきます。

 


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