海外展開に向けて、初めて海外代理店を探す時。 期待と同時に、「そもそも契約ってどうするの?」「独占?非独占?何が違うの?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
【保存版】揉めない海外代理店契約のつくり方|5つの条件設定で“後悔ゼロ”にする方法
海外での販売展開を目指し、代理店との契約を考え始めた時。
「この人に任せたい」と思える代理店が見つかっても、いざ契約となると――
どこまで条件を決めるべき?
ノルマってどう設定する?
独占契約ってした方がいいの?
こんなふうに、“契約書づくり”で手が止まってしまうことはよくあります。
そしてここで手を抜くと、のちのち「思ってたのと違う…」という後悔やトラブルにつながってしまうことも。
この記事では、これまで数多くの海外代理店とやり取りしてきた企業の事例をもとに、
海外代理店契約で必ず押さえるべき5つの条件と、その設定のコツをご紹介します。
1. 契約期間|「1年で終わる」のか「継続できる」のかはここで決まる
✅ 実績が出るまでには時間がかかる
たとえば、代理店が市場や製品に慣れるまでに最低でも6か月はかかることが多いです。
「とりあえず1年」では、評価ができるほどの販売実績が出ないまま終わってしまうことも。
事例:台湾に代理店を置いた耐火物メーカーA社
教育や資料整備に時間がかかり、販売活動が始動したのは8ヶ月目。
「結局何も売れなかった」と短絡的に判断し、関係を打ち切ることに。
実は、代理店側はこれから本格的に市場に出るタイミングだった――という後悔が残りました。
▶ ポイントは「ステップ契約」
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初年度はトライアル+中間評価
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条件クリアで延長/独占化も検討
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「信頼関係が築けるかどうか」を主眼にする
2. ノルマ(販売目標)|“やらなくてもいい契約”になっていませんか?
ノルマのない契約は、代理店にとって「やってもやらなくても変わらない」という意味になってしまうことがあります。
事例:インドネシアの部品代理店を開拓したB社
ノルマなしで契約 → 代理店は「暇なときに売ればいいや」と後回しに
→ 競合メーカーは明確な目標とインセンティブ付きで契約しており、そちらを優先
▶ ポイントは「達成できる“最低ライン”から始める」
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初年度は“件数ベース”の目標(月1件など)
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未達が続けば契約見直しというルールを盛り込む
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達成で追加報酬 or 条件アップ(例:地域拡大)
👉 ノルマ設計の具体例や代理店への動機付け方法は、海外代理店の“販売力と本気度”を見抜く3つのテストマーケティング手法 でも詳しく解説しています。
3. テリトリー(販売地域)|「アジア全域」は危険信号
✅ 曖昧な地域指定はバッティングやクレームの元に
事例:医療機器メーカーC社
「東南アジア全域での販売OK」とした代理店と、「シンガポール限定」の別代理店が同じ顧客に接触
→ 顧客が混乱し、信頼を損なう結果に
▶ ポイントは「細かく、明確に」
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国単位、州単位での指定がベスト
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「越境販売は除外」などEC販売の補足も必要
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他の代理店との調整・例外処理も文書にする
👉 テリトリー設定の際に役立つ、代理店の見極め方については、この15問で見抜け!成果を出す“本物”の海外代理店の見極め方 にて詳しく紹介しています。
4. 独占権|本当に“任せ切って”大丈夫ですか?
独占を与えると、代理店のやる気を引き出す一方で、“結果が出なくても競合を入れられない”リスクがあります。
事例:食品メーカーD社
販売実績が出なかったが、独占契約で他に打つ手なし。
結局3年が空費に。
▶ ポイントは「段階的独占」
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トライアル期間は“準独占”に留める
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ノルマ達成時に“正式独占”へ切り替え
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再契約時に独占更新を明記(自動ではなく協議)
5. 契約解除・更新条件|“詰んだ契約”を避ける最後の砦
✅ 最初に「出口」も決めておく
解除条件がないと、「失敗した」と分かっても2〜3年は付き合わざるを得ないという事態に。
事例:産業機器メーカーE社
未達でも解除できず、年に1度の契約満了まで我慢。
その間に別候補の代理店を失ってしまった。
▶ ポイントは「定量的な記載」
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ノルマ未達、重大違反、無断価格変更などを明記
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更新条件に“自動延長ではなく協議制”を採用
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契約終了の通知期限も記載(例:満了90日前)
まとめ|契約は「武器」にも「足かせ」にもなる
海外代理店との契約は、適切に条件を設定すれば強力なパートナーシップの土台になりますが、曖昧な契約はのちのちのトラブルや機会損失につながります。
もう一度、押さえるべき5つの条件を振り返りましょう。
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契約期間:信頼関係を築けるステップ制に
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ノルマ:最低ラインの達成を条件に、継続可否を判断
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テリトリー:国・地域単位で明確に線引き
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独占権:段階的に、実績ベースで付与
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解除・更新条件:ルール化して“詰み”を防ぐ
初めての海外展開では、どの条件がどれくらい厳しすぎず、甘すぎないのかが分からず悩むこともあると思います。
でも、少しずつでも「自社にとって譲れないポイント」と「柔軟に対応できる点」を言語化し、代理店とフェアに話し合える関係を築いていけば大丈夫。そして、それを“契約書”という形で残すことが、両者の信頼を高め、成果につながっていきます。
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