海外での販売展開を目指し、代理店との契約を考え始めた時。 「この人に任せたい」と思える代理店が見つかっても、いざ契約となると――
海外代理店で起きたリアルトラブル3選|失敗事例に学ぶ、冷静な初動対応のポイント
海外展開を進める中小企業にとって、「信頼できる海外代理店の選定」は非常に重要なテーマです。
ところが実際には、「こんなはずじゃなかった…」というトラブルも少なくありません。
本記事では、実際に発生した海外代理店とのトラブル事例を3つ紹介し、そこから学べる初期対応のポイントと予防策を解説します。
これから海外展開を検討する企業にとって、起こる前に知っておきたい落とし穴を整理するきっかけになれば幸いです。
1. 支払いが滞り、そのまま音信不通に
事例概要
精密部品メーカーがベトナムの代理店と契約。最初の数回は順調に納品・支払いが進んでいたが、3回目の取引後に支払いが遅れ、以降連絡が取れなくなる。
問題の背景
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事前の信用調査はSNSと企業サイトだけ
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契約書に「支払遅延」時の規定がなかった
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営業担当者と意思決定者の関係性が不明瞭だった
初期対応のポイント
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感情的な連絡ではなく、事実ベースのリマインドメールを冷静に送る
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現地弁護士に支払い通知書の送付を依頼(費用:数万円〜)
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今後に備え、代替となる販売チャネルの調査を平行して進める
2. タオバオで激安販売?ブランドイメージが崩壊
事例概要
高級食材を扱う日本企業が、中国の代理店と独占契約を締結。富裕層向けに展開してもらう予定だったが、気づけばECサイトで激安販売されていた。
問題の背景
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ブランド方針の共有が不十分
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契約に販売チャネルや価格帯の制限がなかった
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市場特性(短期利益優先傾向)を理解していなかった
初期対応のポイント
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即座に供給を一時停止し、ブランド毀損の拡大を防止
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契約内容を再確認し、条件再交渉を行う(バイリンガル法務の活用が有効)
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今後は「ブランド維持の観点で共通認識が取れる代理店」を選定基準に加える
3. 競合製品も同時販売?独占契約の落とし穴
事例概要
工作機械メーカーが、タイの代理店と独占契約を締結。その後、競合他社も同じ代理店を使っていることが発覚。
問題の背景
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契約に「競合製品の取扱い禁止」が明記されていなかった
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定期的な販売報告の仕組みがなかった
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契約書の英語表現が曖昧で、解釈にズレがあった
初期対応のポイント
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ECサイトの掲載情報、提案資料などの証拠を収集
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「競合排除条項」などを含む契約見直しを提案
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次回からは「販売状況の可視化(毎月のレポート提出)」を必須条件に
代理店との契約形態については、以下の記事で詳しく解説しています。
👉 独占契約?非独占契約?初めての海外代理店開拓で失敗しない契約形態の選び方
トラブル発生時に押さえたい初期対応の5つのステップ
ステップ | 内容 |
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① 冷静さを保つ | 感情的にならず、事実を整理する |
② 証拠を残す | メール・チャット・請求書などを時系列で保管 |
③ 契約書を確認 | ペナルティ条項・独占条件などの該当箇所をチェック |
④ 第三者に相談 | 商工会・JETRO・現地の士業に早めに相談 |
⑤ 将来の損害を抑える | ブランド保護、代替販路の確保も同時に検討 |
そもそも、どうすればトラブルを防げるのか?
対策 | 具体的な取り組み |
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信用調査 | 商業登記、商工会確認、顧客インタビューなど |
契約書の明確化 | 販売エリア・競合排除・販売報告義務などを明文化 |
情報共有の仕組み | 月次レポート提出、定期ミーティングの実施 |
初期研修 |
ブランド方針・販売スタンスをきちんと共有する |
信頼できる代理店を見極めるためのチェックリストは、以下の記事をご参照ください。
👉 【保存版】この15問で見抜け!成果を出す“本物”の海外代理店の見極め方
「信頼できる代理店」は、つくるもの
海外代理店との関係は「信頼が全て」と言っても過言ではありません。
しかし、その信頼は「最初からあるもの」ではなく、丁寧な情報共有と合意形成の積み重ねでつくっていくものです。
トラブルが起きたときに慌てないために、そして起こる前に備えるために。
他社の失敗に学び、自社の取り組みに活かしていただけたら幸いです。
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