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【インド進出 成功の鍵】機械系商社 海外営業マネージャーが語る現地ビジネス実践ノウハウ

インド市場への進出を検討している中小企業の経営者・海外担当者必見。ファクトリーオートメーション分野で実際にインドビジネスを展開する機械系商社の海外営業担当者による生の声をお届けします。


シン様 素材

シン カシシュ氏 

機械系商社 海外営業担当(インド・アメリカ)

インドとアメリカのファクトリーオートメーション(FA)関連部品の輸出業務を担当。現在は日本から輸出を行っているが、今後インド子会社での現地生産開始を予定している。関税制度やFTA活用に精通し、複数の商材を扱う実務経験豊富な営業マネージャー。

 

 

 

 


インドビジネスの現状と今後の展望

──まず、現在のインドでのビジネス状況について教えてください。

現在、弊社では機械系の商材をインドとタイに輸出しています。主力商品はファクトリーオートメーション関連の部品で、これまでは商社として日本で仕入れた商品をインドに輸出するという形態でビジネスを展開してきました。

インド市場の成長は目覚ましく、特にFA分野での需要は年々拡大しています。現在お取引いただいているのは主に現地に進出している日系企業様ですが、インド企業からの引き合いも増加傾向にあります。

──今後の展開についてはいかがでしょうか?

実は来年からインド子会社での現地生産を開始する予定です。これまでの輸出モデルから現地生産への転換は大きな変化ですが、国内市場の縮小に悩む日本企業にとって、インド市場での現地生産は競争力強化の重要な戦略だと考えています。

 


FA業界におけるインド市場の特徴

──ファクトリーオートメーション分野でのインド市場の特徴を教えてください。

インドのFA市場は非常にダイナミックです。製造業の成長とともに、自動化への投資が活発化しています。特に自動車部品、電子機器、繊維業界での需要が旺盛ですね。

私たちは常にインドやアメリカのファクトリーオートメーションに関する部品の情報収集を行い、現地のニーズに合った商品を見つけて輸出しています。情報収集が成功の鍵の一つと言えるでしょう。

──どのような商材を扱われているのでしょうか?

詳細は申し上げられませんが、FA関連の複数の商材を扱っています。重要なのは、現地のニーズを正確に把握し、それに対応できる商品を迅速に調達・提供することです。インド市場は変化が早いので、情報のアップデートとスピード感のある対応が求められます。

 


関税・FTA活用で差をつけるコスト戦略

──関税やFTAについて、実務上で重要なポイントはありますか?

これは非常に重要な要素です。FTA(自由貿易協定)や二国間協定の活用によって、関税率が大きく変わることがあります。製品と輸出先国の協定内容をしっかりと調べて、適切な手続きを進めることで、コスト競争力を大幅に向上させることができます。

日インドEPAでは、自動車部品については10年で関税撤廃、鉄鋼製品については5年、織機は10年で撤廃となるなど、品目ごとに撤廃スケジュールが異なります。

──具体的にはどのような効果があるのでしょうか?

例えば、通常であれば10%の関税がかかる商品でも、EPAを活用すれば段階的に関税が削減され、最終的にはゼロになります。これは価格競争力に直結する重要な要素です。

ただし、日インドEPAは他のFTA/EPAに比べて難易度が高く、関税分類変更基準と付加価値基準の両方を満たす必要があるケースが多いという特徴があります。専門知識が必要な分野なので、しっかりとした準備と理解が不可欠です。

 


文化の違いを理解したビジネス展開

──インドでビジネスを行う上で、文化的な違いはいかがでしょうか?

これは実際に現地でビジネスをしてみないとわからない部分が多いですね。日本はルールに厳格に従うことが重視されますが、インドでは確かにマニュアルは存在するものの、そのマニュアル自体の効率化を図る傾向が強いです。

──具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?

例えば、日本人の目から見ると「マニュアル通りにやっていない」「手を抜いているのではないか」と思えるような場面があります。しかし、これは決してサボっているわけではなく、より効率的な方法を常に模索している結果なんです。

この文化的違いを理解せずにビジネスを進めると、双方にとって不幸な結果となってしまいます。インドには社会システムや歴史、宗教によって築かれた独自の文化があり、ビジネス慣習も日本とは異なりますので、この点を十分に理解することが成功の鍵です。

 


日系企業とのネットワーク活用

──現在のお客様についてはいかがでしょうか?

現在は主に、もともと日本でお付き合いのあった企業の海外現地法人とお取引させていただいています。日系企業との既存の信頼関係があることで、海外でも安心してビジネスを展開できています。

──新規開拓についてはいかがでしょうか?

既存のネットワークを活用しながら、段階的に現地企業への販路拡大も検討しています。日系企業での実績と信頼を足がかりに、インド市場での認知度向上を図っていく戦略です。

 


体制整備とチーム運営

──海外営業の体制についてお聞かせください。

私がインドとアメリカを担当しており、タイについては現地のタイ人スタッフが担当しています。各市場の特性を理解したメンバーが担当することで、よりきめ細かな対応が可能になっています。

現地スタッフの活用は、文化的理解やコミュニケーションの円滑化において非常に重要です。言語の問題だけでなく、商習慣や意思決定プロセスの違いを理解している現地スタッフがいることで、ビジネスの成功確率が大幅に向上します。

 


インド進出を検討する中小企業へのアドバイス

──最後に、インド進出を検討している中小企業の経営者に向けてアドバイスをお願いします。

まず重要なのは、十分な情報収集と準備です。インド市場は確かに魅力的ですが、日本とは全く異なるビジネス環境であることを理解する必要があります。

関税制度やFTAの活用、現地の商習慣の理解、信頼できるパートナーの確保など、成功のための要素は多岐にわたります。特にFA業界においては、技術的な理解と現地のニーズ把握が不可欠です。

──具体的な準備として何が必要でしょうか?

  1. 市場調査の徹底: 現地のニーズと競合状況を正確に把握する
  2. 関税・通関制度の理解: EPAなどの活用でコスト競争力を確保する
  3. 文化的違いの理解: 現地の商習慣や意思決定プロセスを学ぶ
  4. 信頼できるパートナーの確保: 現地での支援体制を整備する
  5. 段階的なアプローチ: いきなり大きな投資をせず、小さく始めて大きく育てる

インド市場は大きな可能性を秘めていますが、準備不足で進出すると大きなリスクを伴います。しっかりとした準備と現地理解を基盤として、段階的にビジネスを拡大していくことをお勧めします。

 


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