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【現地責任者が語る】ベトナム進出の実態と中小企業が知るべき成功の秘訣

はじめに:なぜ今、ベトナム進出が注目されているのか

2024年のベトナムの経済成長率は7.0%を超え、第4四半期は7.55%に加速し、世界中から注目を集めています。中国プラスワンとして急速に発展するベトナム市場で、日本の中小企業はどのようなチャンスとチャレンジに直面するのでしょうか。今回は、材料メーカーでベトナム現地法人の責任者を務めた吉川様に、ベトナムビジネスの実態について詳しくお話を伺いました。

 


プロフィール

吉川様

吉川様

  • 材料メーカーで海外営業を担当
  • ベトナム現地法人の責任者として3年間駐在
  • 現在は人材派遣会社でベトナム人の日本派遣事業を担当
  • スズキ自動車をはじめとする日系企業との取引実績多数

 


インタビューから読み解くベトナム市場の特徴:「第二の中国」としての可能性

急速な経済発展と外資依存の構造

「ベトナムは経済発展が著しく、昔の中国のような勢いがあります。しかし中国との大きな違いは、ローカルで大きな会社が少ないということです。経済発展が外資の投資に大きく依存している点が特徴的ですね。」

この構造は、日本の中小企業にとって重要な意味を持ちます。国内に強力なローカル企業が少ないということは、外資系企業が市場参入しやすい環境が整っているということでもあります。

販路の実態:外資企業中心のエコシステム

「販路先もベトナムのローカル企業というよりは、ベトナムへの投資を考えている外資企業が中心でした。ローカルの代理店は販売力がまだ弱く、日系の代理店をメインに使っていました。」

つまり、ベトナム市場での成功は、現地のローカル企業との関係構築よりも、同じくベトナムに進出している外資系企業とのネットワーク形成が鍵になるということです。

韓国系企業の圧倒的な影響力

「サムスンの工場がどんどん移ってきて、サムスングループの存在感が非常に大きかったです。サムスンの売上でGDPの15%くらいを占めていて、その影響力は半端なものではありませんでした。」

中華系企業の急速な台頭

「今は中華系の進出も増えています。中国国内での規制や人件費増加に伴い、だんだん増えている傾向にあります。同様に、日系企業も中国からベトナムへの進出の流れがありますね。」

内需市場の萌芽

「ビングループというベトナムの企業があり、車を作り始めました。そこから内需も始まっています。」

これまで外資系企業向けが中心だった市場に、ベトナム企業向けの新しいセグメントが生まれているのです。

 


ベトナムビジネスの現実的な課題

汚職・腐敗問題への対処

「ベトナムに関わらず、アジア圏全体で袖の下というのが多いです。台湾でも遭遇しました。」

社会主義国特有の制度リスク

「社会主義の国なので、政府の法律や税金が急に変わって追徴されたりといったところが、ビジネスのやりにくい点でもあります。」

人材育成の困難:営業経験者の不足

「平均年齢は30歳で若いのですが、営業経験がある人が少ないんです。外資が来る前までは国営企業が多かったためです。マネージャーレベルの営業経験者を採用するのは非常に難しく、最初の育成は大変でした。」

地域特性:ハノイvsホーチミン

「ハノイに比べるとホーチミンの方が規制等が緩やかです。例えば、コンビニがハノイだと小売規制で出にくいという傾向があります。」

事業形態や業種によって進出戦略を変える必要があることを示唆しています。

 


中小企業のベトナム進出成功戦略とベトナムのチャンス

段階的進出戦略

第1段階:情報収集と市場理解

  • JETROの現地情報を活用した市場調査
  • 既進出企業の事例研究とネットワーク構築

第2段階:テストマーケティング

  • 越境ECを活用した市場反応の確認
  • 現地展示会への出展による認知度向上

第3段階:本格進出の準備

  • 現地パートナー企業の選定と関係構築
  • 法務・税務体制の整備

販路戦略:外資系企業ネットワークの活用

吉川様の経験から、以下の販路戦略が効果的です:

  1. 日系代理店の活用:ローカル代理店よりも販売力が高い
  2. 外資系企業向け営業:ベトナム進出外資系企業をメインターゲット
  3. 韓国系企業との関係構築:サムスングループのサプライチェーン参入

人材戦略:長期的視点での育成投資

  1. 長期育成前提の採用:3-5年の育成期間を想定
  2. 日本での研修制度:本社での研修による日本流ビジネススタイルの習得
  3. 段階的権限移譲:信頼関係構築後の現地化推進

ベトナムの将来性とチャンス

「国として若い。これから伸び代があります。」

若い人口構成と継続的な経済成長は、中長期的な市場拡大の基盤となります。中国プラスワン戦略の受け皿として、日本の中小企業にとっても重要性は今後さらに高まるでしょう。

 


成功のための重要ポイント

1. 現実的な期待値設定

汚職問題、制度変更リスク、人材育成の困難を踏まえた現実的な事業計画が重要です。

2. 外資系企業ネットワークの構築

同じく進出している外資系企業、特に日系企業同士の連携が成功の鍵となります。

3. 地域特性を活かした戦略

事業内容に応じたハノイ・ホーチミンの最適な拠点選択が求められます。

4. 長期的視点での人材投資

即戦力は期待できません。長期的な育成投資を前提とした人材戦略が不可欠です。

 


まとめ:ベトナム進出への現実的アプローチ

吉川様のインタビューから明らかになったのは、ベトナムが確かに大きな可能性を秘めた市場である一方で、成功には十分な準備と現実的な期待値設定が不可欠だということです。

中小企業にとっては:

  • 段階的なアプローチによる着実な市場参入
  • 外資系企業ネットワークを活用した販路開拓
  • 長期的視点での人材育成投資
  • 制度リスクを織り込んだ事業計画策定

これらの要素を総合的に検討し、自社の経営資源と成長戦略に適合した形でベトナム進出を進めることが、成功への道筋となるでしょう。

適切な準備と戦略があれば、日本の中小企業でも必ずベトナム市場で成功のチャンスを掴むことができるはずです。

 


支援機関情報

主要支援機関

ベトナム投資支援

  • JETROベトナム事務所:ハノイ・ホーチミンに設置
  • 新規輸出1万者支援プログラム

まずは情報収集から始めて、段階的にベトナム市場への参入を検討してみてはいかがでしょうか。

 


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